露出計不良
低速シャッター不良
スクリーン汚れ
の3点を改善していきます。色々不具合が出る機体ではありますが、SPは強い子なのでほぼ元気になってくれます。
※体験教室用のまとめ記事です。修理依頼を頂いた場合と異なり精度より簡単を優先してます。
◆露出計不良の改善
底板のネジ4本を取って底板を抜きます。
SPの電池蓋は固着して取れないことが殆どです。
電池蓋の周りを酸性洗剤をかけ、周りの泡の発生がなくなるまでしばらく放置します。洗剤を完全に拭き取ったのち更に潤滑油を注して再度放置します。
蓋の溝ににキッチリ合うように、先を削ったコインオープナーで押し回します。
まずない思うので、以下の手順で空けて下さい。
①電池蓋の上から、保護と滑り防止のためにガムテープを貼る。
②500円玉をガムテの上から電池の溝に差し込む。
③目一杯押しながら回す。*コツがあってただ押すだけだと蓋の底が抜けます。
外れた電池蓋の裏側です。
酸性洗剤で、裏面とネジのある側面を清掃します。
底板を取ったSPの底面です。
電池室の裏側の端子が緑青を拭いているので、蓋と同じ要領で清掃します。
端子がもろくなっていて、清掃時に折れてしまうこともあります。
その時は別の端子に取り替えます。ハンダを使いますが、それほど難しい作業でもありません。
底板をきれいしてから戻します。
底板の接地面も清掃しておいて下さい。
◆端子が折れた場合
端子が完全に真っ青です、今回は、清掃中に折れてしまいました。
その場合は、端子の交換をします。
まず、端子を止めているネジを外します。
コードを作業しやすいように外に出し、ハンダゴテで接続部のハンダを溶かし端子を取り除きます。
コードの先を、ハンダ付けしやすいように少し剥きます。
コードの先を別の使える端子の穴に通してよじります。
ハンダで配線を接続し、元あった部分にネジで止めれば完了です。
補足: ハンダ付手順
①ハンダゴテがあたたまるのを待つ。
②ハンダ付けをする箇所を、ハンダゴテを当てて温める。
③引き続き接続箇所を温めながら、糸ハンダを当てる。
④半田が溶けたら、糸ハンダを離す。
丸くまとまるより、うすく広がってくっついた方がベターです。
◆低速シャッターの改善
画像のマイナスネジの内側にスローガバナーがあります。
ネジを外した穴から、揮発性の溶剤で洗浄すると低速シャッターが回復します。回復が確認できたら潤滑油を注し、ネジを戻します。
ここが、マイナスでなくプラスネジのときもありますが、作業は同じです。
画像内にギアがたくさん見えますが、経年によりどれも油切れ状態になっています。一見動作に支障がなくても、シャッター速度に影響が出る箇所なので、底板を外したときに歯車の巻軸をグリスアップしておきます。
◆スクリーン清掃
スクリーンの清掃をするためにトップカバーを抜いて行きますが、手順として分解前に、フィルム室、ミラー室のモルトを除去しておきます。
手順が逆になると、苦労してきれいにしたスクリーンにまたチリが入ってやり直しという危険があります。
分解自体はシャッター速度はどの位置でも問題無いですが、露出計の感度チェックを分解清掃後にしたいので速度1/125 ASA100で外します。
巻き上げレバーから外して行きます。
カバーのイモネジを3本緩めます。
上に引き抜きます。
フィルムカウンター上のマイナスネジは逆ネジの為注意です。
最初はカウンターの盤だけ回りますが、そのまま続けるとカウンターは止まってネジが外せます。
カウンター盤のスキマにマイナスドライバーを差し込んで外します。
再度この金具が逆ネジです。
しかし、正ネジの場合もあるので、最初は様子見で回して下さい。
SPには、露出計スイッチの小さい初期型あってそれはこの部分が正ネジです。初期型以降も何台かは、正ネジで製造されていますが、具体的にシリアルナンバーがいくつまでというのはわからないです。
覚える必要はありませんが、140万台はほぼ正ネジです。
金具を止めてあるネジ3本を抜きます。
ドライバーの押しが弱いと、ネジの頭だけ取れてしまうことがあります。
金具が組み合わさっているためこのままでは外せません。
ペンチを穴2つに刺して、30°位回すと組み合わせがとけます。
あとは、上に引き抜いていくだけです。
シャッターダイヤルのカバーを取ります。
内部にスプリングが入っているので、上面を押えながら外さないと飛び出します。
巻き戻しクランクを外し、内側のカニ目をペンチで外します。
なお、この穴から見える端子を動かすと、露出計の針の位置を調整できます。
カバーのネジを一本抜きます。
カバー自体についているネジはココだけです。
この存在を忘れて組み上げると、巻き上げ一式外さないとはめられないので大変です。
◆スクリーン清掃
トップカバーを外したのち、プリズムをはずしていきます。
画像のパーツは、レリースボタンの下部分がボディに載っているだけです。
作業前にトップカバーの側に戻しておきます。
カバーを戻す時は、このパーツが落ちないように、カバーを乗せるのではなく、カバー側でボディをお迎えします。
プリズムを押えているネジは、そこそこ強いのでピンセットではなくペンチで掴んで外すほうが楽です。
プリズムを左右から押えているイモネジを緩めます。
片方緩めれば外れます。
また、ネジの頭は少し飛び出しているので、少し大きめのマイナスドライバーを使うこと推奨です。ジャストサイズだとネジ山を削り取ってしまう危険性が上がります。
プリズムが外れました。
プリズム周りのモルトが、劣化してボロボロになっているものは、モルトの除去と後処理が必要です。
※次回遭遇したら記事加筆します。
今回の個体は、代替品と交換されているようでプリズムは清掃するだけでした。
スクリーンの清掃が終わったら、トップカバーをシャッターを切れるよう仮組みします。
カメラを、横や逆さでシャッターを切ったり、底板を叩いたりして、隠れ潜んだカスをスクリーンに出し切るようにします。
モルト交換などが終わってなければこのタイミングで完了させて下さい。
この作業を手抜きすると、組み上げた後にどこからともなくスクリーンにチリが舞い戻ってきます。
作業後仮組みをとき、再度スクリーンを清掃したのちにプリズムを戻します。
ファインダーに、手垢やホコリが残っていないか再度確認し、トップカバーを戻してい下さい。
◆組み上げ
カバーを付けた後、露出計をチェックし、ずれているようならば調整します。
ボディ右側のネジ忘れがちなので、先に締めて下さい。
カウンターは、裏蓋を締めたあと2回シャッターを切って、0の位置とカバーの赤い▼を合わせます。
先に、▼そばのイモネジから極めるとカバーがずれなくて良いです。
以上トップカバーの分解から組み上げでした。
その他、SPには色々症状あるので補記していく予定です。
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